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寿命が伸びる「病院のかかり方」

大病を患えば、誰しも「いい病院」にかかりたいと思うのが人情というもの。では、いい病院とは具体的にどのようなものを指すのか?

「大学病院信仰」は間違い?

 

「いい病院」としてまず頭に浮かぶのは、大学病院だ。大学病院は教育、臨床、研究の機能を擁ようし、有能な医師の数も多い上、最先端の医療が充実しているというイメージがある。 だが、それ故に多くの患者が殺到し、待ち時間が長くなるというデメリットがあるのも事実。そして、そんな我々の「大学
病院信仰」を否定するのは、湘南鎌倉総合病院副院長の小林修三さんだ。

「優秀な医師が多く、専門的で高度な治療が受けられるのは事実ですが、病気になったらまず大学病院にかかろうとするのは間違いです」。

 我々が病気になった場合、まずはしかるべき病院で診察を受けて、病名や病状を把握することが必要だ。

「効果的な治療のためには、最初の入口となる診察が何よりも大切です。しかし、大学病院は高度な治療には長けていても、診察という点では必ずしも適切だとは限りません。というのも、組織が未だに縦割りであることが多く、不特定の病気を診察するには、非効率的だったりするからです。診察と治療は別物。町の開業医(クリニック)や総合病院、大学病院など、病院のタイプによって担う役割が異なるのです。初診を行うのは、基本的には内科医。なので、最初にかかるべきは、広範な医療知識を網羅する優秀な開業医か、内科専門医でかつ、可能なら総合内科という診療科がある病院です」。

 まずはクリニックや総合内科の内科専門医に診察を受け、病気や病状に応じて大学病院や同規模の総合病院、専門病院などを紹介してもらった上で高度な治療を受ける、というのが正しい流れ。いい病院を選ぶ際には、こうした前提を踏まえる必要がある。

「病院ランキング」のトリック

 では、いい病院を選ぶ目安とは?

「第三者評価です。最もメジャーなのが日本医療機能評価機構による『病院機能評価』で、全国にある病院のうち約4分の1が認定されています。もはや必須条件なのかもしれません。さらに医療の質のグローバルスタンダードということであれば、『JCI(Joint Commission International)』という国際的な第三者評価。日本でJCIの認証を取っているのはまだ9病院だけですが、現時点では最も信頼できる目安と言えるでしょう」。

 また、メディアなどでも「病院ランキング」が喧伝されているが、こうした評価はどの程度当てにできるのか。

「いい病院、普通の病院、避けたほうがいい病院といった具合に、感覚的に3つに分けることができるので、それなりに参考にはなります」。ただし、「紹介率」や「手術件数」など、評価項目の数字の割り出し方に注意すべきだという指摘も。

「紹介率を上げるには、紹介状を持たない救急の患者を断ればいい。しかし、それが本当にいい病院でしょうか。手術件数にしても術後の生存率が明らかになっていないので、手術数は多くても失敗が多い可能性があります」。

 

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小林 修三

こばやし しゅうぞう

湘南鎌倉総合病院

副院長

1955年、大阪市出身。浜松医科大学大学院卒業後、同大学第一内科入局。浜松赤十字病院勤務、NTT伊豆逓信病院内科部長などを経て現職。著書に『間違いだらけの病院選び』(PHP)など。

 


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